第6回 練習中、険悪な空気にしない為のアイディア
レッツダンスを御覧の皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
社交ダンス情報ラジオ番組『ダンスウェーブ』オフィシャルブロガー、メンタルコーチの島田裕です!
僕はメンタルコーチの仕事のひとつとして、チームのコミュニケーションを良好にするサポートをしていますが、ダンサーからよく寄せられる質問に
「練習中にケンカをして険悪になってしまうのですが、どうしたらよいですか?」というものがあります。
社交ダンスはリーダーとパートナー、2人で踊るもの、そうカップルは最小単位のチームなんですね。
そこで、今回はそんなお悩みについて考えていきたいと思います。
想いの強さゆえの「ダメ出し」・・・
練習場で、ケンカをしている場面に出くわすことって社交ダンスあるあるですよね。
あれって本心から相手を「とっちめてやりたい」「追い詰めてやりたい」なんて気持ちでやっている人は1人もいないと思うんです。
「もっとダンスが上手くなりたい」
「もっと良い踊りで魅せたい」
っていう想いが根本にはあるんですよね。
だからこそ「どうにかしたい!」という想いの強さが、きびしい「ダメ出し」として表現されてしまうのだと思います。
ここで一つ事例を。
例えば、スマホが故障したらどうしますか?
修理しますよね。
きっと徹底的に、どこが悪いか、壊れているのか、を追求して修理すると思うんです。逆に言えばそうしないと治せない。
機械の場合は、このやり方が合っているんです。
では同じやり方を人間に対してやったらどうなると思いますか?
ダンスの練習でいうと、「踊りのダメなところ」を徹底的に追求しているのと同じなんです。
ダンサーに多い真面目なタイプほど、出来ていない所に目が向きがちですよね。
こういう関わり方が「何をー!!(怒)」という奮起を呼んでプラスに働く場合もありますが、
「なんで自分ばっかり・・・」「もう練習したくないな・・・」って辛くなってしまう人もいますよね。
結果として、険悪な空気になって、練習の質が落ちてしまいます。
どうしてこのような事態を招いてしまうのでしょうか?
意識・注目したものが増える
理由は、二つあります。
一つは、人には「感情」があるからなんです。
前述のスマホの故障のように機械であれば、合理的に原因を追求することが解決につながりますが、人間の感情はそう理屈だけでは割り切ることができません。
もう一つには、人には「意識・注目したものが増える」という法則があるからなんです。
「意識・注目したものが増える」についてもう少し詳しく解説しますね。
例えば白いマフラーが欲しいなと思っている時って、やたらと白いマフラーを巻いている人が目につきませんか?
一つの「ダメ出し」は雪だるま式に他のダメなところに着目させてしまうんです。
ここがダメ、あそこも気に入らない、気に入らないと言えばあそこもだ!……と、こんな風に。
そうすると、お互い良い気分じゃないですよね。
というわけで、この法則を踏まえた上で、人に接する場合はどうしたらよいでしょうか?
まず、相手を否定しない、ダメ出しをしない、ダメなところを追求しない。(ちなみに原因を追求することを原因論と言います)
人に対して接する場合は「本当はどうしたいんだろう?」「どうなりたいんだろう?」という意識を持ってみてください。(目的論)
そうすると、責めるような会話ではなく、前向きで建設的な意見出しが出来るはずです。
次に、是非「増やしたいもの」に意識を向けてください。
「増やしたいもの」とは、そうです。自分たちの踊りの良いところです。
前より進歩したところや、ここは相変わらず良いよねとか、そういえば、こんなところも自分たちの持ち味だよね、などなど。
こんな風に、どんどん「ヨイ出し」をしてみましょう。
ぜひ、カップルで自分たちの「ヨイところ」を言い合ってみてください。
そうすると、人は感情の生き物ですから、気分(心の状態)が俄然良くなります。得意なところはさらに磨きがかかりますし、練習も楽しくできますよ。
「ダメ出し」ではなく「リクエスト」のススメ
そして、心の状態が良くなった上で、「自分たちの理想に1ポイントでも近づけるため」に、やったら良さそうな「課題・伸びしろ」について、ダメ出しではなく「リクエスト」してみてください。
よく「反省会」って言いますが、そもそも悪いことなんかしていないんです。
出来ているところも出来ていないところも含めて、「理想の踊りに一歩でも近づけるため」の「振り返り・作戦会議」をやれたら良いんじゃないかなって思うんです。
やってみたらどんなことが起きるのか、試してみませんか?
いい結果が出たら続けたら良いし、イマイチだったらまた別のチャレンジをやってみればいいだけですから(^^)
————————————————————
【やらないほうが良さそうなこと】
ダメ出し。人格否定。存在否定。
原因論(悪いところ探し)。
反省会。
【やったほうが良さそうなこと】
ヨイ出し。出来ていることに注目。リクエスト。
目的論(本当はどうしたい?)。
振り返り・作戦会議。
————————————————————
先日『ダンスウェーブ』の収録で、今回の内容を一部お話しする機会がありましたので、そちらもお楽しみに。
また次回の『ダンスウェーブ』コラムもお楽しみに。
それでは素敵なダンスライフを!
————————————————————
文責:島田裕(ダンスウェーブオフィシャルブロガー)
・アマチュア競技ダンサー(パートナーは奥さん)。
・メンタルコーチ
・コミュニケーションナビゲーター
「思いやり溢れるコミュニケーションが当たり前の世界。」
社交ダンスとメンタルコーチングを通して、その実現を目指しています。
ダンサー、カップル、スポーツ選手、指導者、チームのメンタルコーチとして活動中。また、活動理念に共感したダンスウェーブに合流し、社交ダンス界を盛り上げる為活動中。
ダンスウェーブ公認ブログの一つ『社交ダンス応援サイト ダンスコミュニケーション(通称ダンコミュ)』(http://shimadaism.com/dance-communication/)を運営。
(2017年2月16日更新)