第7回 二ツ森由美先生インタビュー① エスパン・サルバーグ氏との親交
第7回 二ツ森由美先生インタビュー① エスパン・サルバーグ氏との親交
去る2016年12月3日、エスパン・サルバーグプロデュースダンス&ファッションショーDANCE・A・LA・MODE2016(以下、アラモード)が月刊ダンスファン主催により開催されました。
今年で第2弾となるアラモードでは、昨年の第1回目を上回るダンサーが集結。エスパン氏総合監督の元、今回はスペインにおける「優雅な宴」をテーマにしたショーを繰り広げ、盛況のうちに幕を閉じました。
こちらのイベントにご協力された二ツ森由美先生は、エスパン氏との親交が最も深い日本人ダンサーのお一人。
アラモードの裏話やエスパン氏との親交について、ダンスウェーブのために余すことなく語っていただきました(以下、敬称略)。
インタビュアー:島田裕(ダンスウェーブスタッフ・二ツ森亨ダンスアカデミーの生徒)
島田:そもそも、由美先生はなぜアラモードに協力されることになったのでしょうか?
-由美:なんでもなにも、ないわよ(笑)。エスパンが日本でイベントをするときは、たいてい私たちはセットで付いてくるの。なんせ、カップル結成歴30年=エスパンとの付き合いだからね。
島田:エスパンとは、最初はコーチャーとして出会ったんですよね?
-由美:そう。最初は弟子と師匠の関係だったの。引退してからは、エスパンが衣装やレッスンウェアのデザインを手がけるようになって、日本でそのお手伝いをさせてもらってね。言わば、ビジネスパートナーだったこともあったのよ。
島田:そういえば、エスパンのショップが教室内(二ツ森亨ダンスアカデミー)に置かれていたこともありましたよね。うちのパートナーが、ここで練習着を買わせていただきました(笑)。
-由美:あら、お買い上げありがとう(笑)。現在のエスパン・サルバーグブランドも、思えばエスパンがデザインを始めて、私がお手伝いしていた頃が出発点だったのよね。手伝いに駆り出された頃は、輸入やら関税まで勉強したんだよ。今はエスパンのやりたいことが大きくなって、専門の業者さんが取り扱うようになったけどね※。
※ 現在はエスパン・サルバーグブランドの日本代理店はクリスアンクローバーに移管。
島田:由美先生たちのダンス人生すべてが、エスパンとの親交の歴史と言っても過言ではないですね。では、どうしてエスパンに師事しようと思ったのですか?
-由美:プロになって、それなりに上手くなっている手応えはあったし、まあまあ成績は出ていたんだけど、自分たちが『一流でない』という自覚があった。やっている割に、大きな成長はしていないと指摘されたこともあったしね。
島田:由美先生にもそういった頃があったのですね。
-由美:今はエスパンって、すごく忙しいでしょ。私たちの時代は幸せでね。エスパンの生徒に対する情熱は今も昔も変わらないけど、当時のエスパンには時間があった。私たちのために、とことん時間を割いて教えてくれたの。エスパンがオスロに住んでいた頃、ウォークだけで8時間レッスンを受けたこともあったんだよ。
島田:8時間!?
-由美:そう。エスパンについていけば、自分たちは本物になれるかもしれない、この人に習ってダメだったら、ダンスをやめようって思っていたの。
-由美:……信じられないかもしれないけど、私、プロになった頃はこんな感じ※だったんだよ。
※ 綿引ゆり杏(ダンスウェーブスタッフ・プロダンサー・島田と同じく二ツ森亨ダンスアカデミーの生徒)を指差して
-由美:私にも、可愛い頃があったわけ。でも、ダンサーにとって「可愛いだけ」なんて価値がないじゃない。その価値観が通用するのは、日本だけかもしれないわね。海外では、ユースですらどこかセクシーさがある。それを、エスパンは振付の一つのヒントとして、ストッキングの脱ぎ方から教えてくれたわけ。
島田:ストッキングの脱ぎ方……ですか?
-由美:私たちのセグエはエスパンが振り付けていて、ジゴロだとかストリートガールをやらされたんだけどね……。
-由美:若い頃にストリートガールとか言われても、分かんないでしょ!? エスパンが私にイメージを作らせるために「お前はストッキングをどうやって脱ぐんだ」って聞いてくるんだけど、私なんか普段は、クシャクシャッ、ポイ!って脱いでるわけじゃない。
島田:(笑)
-由美:エスパンはそんな私に、マリリン・モンローの映画を見せてくれてね。こんな風にセクシーにって。そういった意味で、私たちの感性まで磨いてくれたのが、エスパンだったの。
②へ続く
二ツ森由美プロフィール:
福島県でアマチュア選手としてダンスを始め、1986年にプロデビュー
現役時代はパートナーの亨とともに国内外で活躍、輝かしい戦績を誇る
主な戦績
・全日本10ダンス選手権9年連続優勝(日本記録)
・世界10ダンス選手権ファイナル
・世界ショーダンス選手権ファイナル
・ブラックプール全英選手権ライジングスターラテン5位
現在は世界的な審査員として国内外で活躍する他、テレビや舞台等のダンスシーンの監修等も精力的にこなしている
文責:賀曽利奈穂(ダンスウェーブオフィシャルライター)
元DSCJアマチュアラテンA級
ゲームシナリオライターの傍ら、社交ダンスのさらなる普及に向けてダンスウェーブで活動
オフィシャルブログ「Naoのダンスウェーブ裏番」も好評配信中!!
(2017年2月28日更新)