第8回 二ツ森由美先生インタビュー② 私の感性はエスパンに作られた
前回のインタビューで、エスパン・サルバーグ氏(以下、敬称略)との師弟関係をお話ししてくださった由美先生。エスパンには、感性まで磨いてもらったと言います。
インタビュアー:島田裕(ダンスウェーブスタッフ・二ツ森亨ダンスアカデミーの生徒)
島田:エスパンには感性まで磨かれたというお話でしたが、エスパンはどんな風に指導したのでしょうか?
-由美:よく、舞台なんかに連れて行ってもらってね。ピアソラだとか、フラメンコだとか……音楽もよく聞いてた。それで、バンドネオンが大好きになったりね。エスパンがそういったものが大好きだったから、インスピレーションが湧くものがいつも身の回りに溢れていて、影響された感じかな。
-由美:舞台や音楽……本を読んで、でもいいんだけど、そういったものに触れて、全くなにも心に響かないんだったら、ダンスには向いてないかもしれないね。デモンストレーションやアラモードは、エンターテインメントじゃない? 見ている人の心を揺さぶって、感動してもらわなければいけないものね。
島田:そういった感性は、やはり生まれ持ったものなんでしょうか?
-由美:生まれつきの素養は、多少あるとは思う。でも大抵の人間は、何かを見て聞いて、心が動くものなんじゃないかなあ。あとはたくさん経験して、勉強していけばいいんだと思う。
-由美:エスパンは、それを私たちに教えてくれた。若いうちにそういうものに出会わせてくれたことに、とっても感謝しているの。今だって、エスパンにそうやって感化されている若いダンサーたちがたくさんいるものね。
-由美:例えば瀬古知愛ちゃん、ボブにしてすごく良くなったと思わない? あれもエスパンのアドバイスよ。
島田:え、そうだったんですか?
-由美:エスパンは、シニョンとボブにこだわりがあるみたいなの。日本人に合うからって。彼は日本的な美をすごく大事にしてくれるの。日本人の黒髪を染めるなんてとんでもない、その美しさを大切にっていつも言っているのよ。
Nao:私はエスパンプロデュースの楠先生のパーティーを拝見したことがあるのですが、特に由美先生たちが踊った『川の流れのように』に感動しました。エスパン先生が『美空ひばり』を選曲したのには、ちょっと驚きました。
※由美先生の気さくな雰囲気に、つい話に加わりました(笑)
-由美:私たちと、大竹先生と楠先生のトリオで踊った演目ね。そうそう。エスパン、美空ひばりも日本の歌謡曲も大好きなのよ。
Nao:男性4人で踊ったタンゴや、デュオで2組の造形の違いを見せるなどの振付もすごく印象的です。
-由美:昔からフォーメーションはあったけど、いわゆるショーとしての振付を社交ダンスに取り入れたのは、エスパンが最初なんじゃないかしら? ショーとして社交ダンスを発展させたのは、エスパンの功績だと思う。
-由美:そういう人の元で感性を磨かれるダンサーは、幸せよね。アラモードに出演したダンサー達は、そういう素養を持っているとエスパンが見込んだ子達だと思うわよ。私たちは本当に幸運だったと思うし、これからエスパンの元から飛躍していくダンサー達が、本当に楽しみだと思わない?
③へ続く
二ツ森由美プロフィール:
福島県でアマチュア選手としてダンスを始め、1986年にプロデビュー
現役時代はパートナーの亨とともに国内外で活躍、輝かしい戦績を誇る
主な戦績
・全日本10ダンス選手権9年連続優勝(日本記録)
・世界10ダンス選手権ファイナル
・世界ショーダンス選手権ファイナル
・ブラックプール全英選手権ライジングスターラテン5位
現在は世界的な審査員として国内外で活躍する他、テレビや舞台等のダンスシーンの監修等も精力的にこなしている
文責:賀曽利奈穂(ダンスウェーブオフィシャルライター)
元DSCJアマチュアラテンA級
ゲームシナリオライターの傍ら、社交ダンスのさらなる普及に向けてダンスウェーブで活動
オフィシャルブログ「Naoのダンスウェーブ裏番」も好評配信中!!
(2017年3月7日更新)