第9回 二ツ森由美先生インタビュー③ 人と人のつながり
エスパン・サルバーグ氏(以下、敬称略)との親交を、余すことなく語ってくださる由美先生。
今回でシリーズ最終回です。
インタビュアー:島田裕(ダンスウェーブスタッフ・二ツ森亨ダンスアカデミーの生徒)
島田:僕は、由美先生が指導していた頃のウリナリで、アルゼンチンへ行った回の放映を見て、社交ダンスを始めたんですよ。
-由美:へえ、そうだったの!?
Nao:ウリナリの影響は大きいですよね。島田のように、あの番組の影響でダンスを始められた方も多いのではないでしょうか。
-由美:うちのスタッフの中にもいるわよ。「幼稚園の頃にウリナリ見てました」とかね。幼稚園よ!? やんなっちゃうわよ(笑)。
Nao:(笑)。登場した芸能人の皆さんが、初めは全くダンスなんてやったこともなくて。それがあんな短期間で踊れるようになるということに、衝撃を受けた気がします。
-由美:そうね、教える方は大変だったけど。毎日声を枯らして指導していて、そのおかげで私、こんな声になっちゃったんだから。
※ 由美先生はハスキーボイス
-由美:中には姿勢の矯正のために病院に行ってもらった方もいたし、練習中に本当に泣いてしまった方もいたし……。でも、変に振付とかでごまかさずに、ちゃんと教えたかったの。そうすれば、きちんと踊れるようになるんだってことを番組で見せたかった。南原さんは今でもお教室に習いに来て、パーティーでデモを踊ってくれているのよ。
島田:由美先生の指導力の賜物ですね。こちらのお教室のおかげで、僕も少しは踊れるようになりました。
-由美:そうよ! 島田君、上手になったわよねえ。最初の頃に比べたら、ホント、雲泥の差よ。
島田:競技会に出始めた頃、会場で、由美先生に講評をいただいたのを思い出します。
-由美:え、そうだったっけ? 私、なんて言ってた!?
島田:パートナーの逆リードが強すぎる。リーダーのリードで勝てるようになることを期待しています。
(一同、爆笑)
島田:でも、由美先生をはじめ、お教室に来ると「うまくなったわね」っておっしゃってくださる生徒さんもたくさんいて、救われます(笑)。
-由美:お教室で習う良さって、そういうところにあるよね。うちの教室だと、上は80代から下は3歳くらいの子までいてね。長年の生徒さんもすごく多いよ。これだけいろいろな生徒さんがダンスで繋がって触れ合えるって、すごく素敵なことだよね。
-由美:高齢でご病気をされる生徒さんもいらっしゃるけど、みんなまた踊りたくて、元気に復活して戻ってくるんだよ。
加地:僕も去年肩を脱臼して手術したんですが、やっぱりダンスが大好きで、また踊りたいから、リハビリしよう、頑張ろうって思えました。
-由美:そう、それは大変だったね。やっぱり家で寝ているだけじゃ、良くならないもんね。生徒さんの中には、息子さんがお母さんのために練習着買ってくれてね、「お母さん、行って来い、行って来い」って言うんだって。やっぱりお化粧して、きれいにして、お教室やパーティーに来て、踊れば元気が出るじゃない。
島田:二ツ森亨アカデミーのパーティーも、アラモード並みにスゴイですよね。エスパンプロデュースですし。
-由美:楠先生のところと私達は、エスパンとはもう長い付き合いよね。普段からベタベタ付き合っているわけじゃないけど、エスパンファミリーは言葉にしなくても、分かり合える気がする。昨年の20周年記念パーティーの時のエスパンの振付で、サンバのリバースロールを楠組と4人でやるっていうのがあったんだけどね。
島田:リバースロールを4人で……ですか!?
-由美:どんなに大変だろうって思ったけど、一発で合ったわね、なぜか。まあ習っているテクニックが一緒だから合わないわけはないんだけど、それでもなんか自然と合うのよね。
島田:エスパンの振り付けは、こなすのが難しいのでしょうか?
-由美:そうでもないよ。フォーメーションなんかはきちっと決めてやるけど、私たちのデュオとかトリオは、数回で完成することが多いかな。”Do something”ってよく言われるんだけど……とにかく動いてみろって。なんとなく音に合わせて動いてみたら、それでいいって言われたり、ディスカッションして作ったりしている感じかな。
島田:もう、阿吽の呼吸ですね。
由美:そう、ダンスってすごいよね。もう30年の付き合いだから、言葉にしなくても通じ合えるところがたくさんある。全部、エスパンが広げてくれたご縁だと思っているの。これからも、チームエスパンで、できるだけ長く踊っていけたら幸せだな。
二ツ森由美プロフィール:
福島県でアマチュア選手としてダンスを始め、1986年にプロデビュー
現役時代はパートナーの亨とともに国内外で活躍、輝かしい戦績を誇る
主な戦績
・全日本10ダンス選手権9年連続優勝(日本記録)
・世界10ダンス選手権ファイナル
・世界ショーダンス選手権ファイナル
・ブラックプール全英選手権ライジングスターラテン5位
現在は世界的な審査員として国内外で活躍する他、テレビや舞台等のダンスシーンの監修等も精力的にこなしている
文責:賀曽利奈穂(ダンスウェーブオフィシャルライター)
元DSCJアマチュアラテンA級
ゲームシナリオライターの傍ら、社交ダンスのさらなる普及に向けてダンスウェーブで活動
オフィシャルブログ「Naoのダンスウェーブ裏番」も好評配信中!!
(2017年3月14日更新)