第40回 あれから半年、我々ダンサーはどうあるべきか・・・
夏のパーティーシーズンも一段落し、心配された電力不足も国民みんなの努力で乗り切れそうです。 私のスタジオ開設7周年パーティーも多くの賛助出演の方々、プロ選手、スペシャルゲストのビクター組のお陰で成功裏に終わりました。ビクターは私と顔が似ている(?!)ということをスピーチのネタにしながら、素晴らしいデモを披露してくれました。
ところで、今さらながらですが、大震災で被災された方々、亡くなられた方々にお見舞い申し上げます。
3.11からもうすぐ半年が経とうとしています。いまだに余震が続く日本列島は、東に向かって陸地が移動し続けているそうです。地震や津波は天災だとしても、原発事故は明らかに人災でしょう。特に、水蒸気爆発で飛散した放射線の計り知れない影響は言うまでもありません。
ダンス界においてもその余波は外人選手、外人審査員が来日しないなどの問題で直前まで人員の差し替えに追われた6月の日本インターにも及びました。福島県で発生した事故でも、東京などは世界地図からみれば隣り街ですよね。日本列島全体に放射線が飛散してしまったと思われても仕方ない事だと思います。
また現在、食の問題も取り上げられています。私のスタジオのパーティーやMBKのパーティーのディナーには当初予定していた東北の食材を直前にキャンセルして他県のものにしたのです。東北の食材を利用することも支援の一つだと考えていたところ、和牛の汚染がキャンセルの決め手になってしまい大変残念でした。生産者には申し訳ないけれども主催者としては安心・安全を最優先する義務があるからです。
しかし一番の打撃は、ダンスどころではないという被災地のダンス教室経営でしょう。衣食住が足りて初めてダンスを習いに来るのですから、それを生業としているプロダンサーにとって今回のことは極めて深刻な問題でしょう。
義援金を送ったり、ボランティアをしたりしても所詮、一時的なものに過ぎません。ダンス人が今までの生活を取り戻す方法は、自分でも分かりません。頑張りたいけど、どう頑張っていいか誰か教えて欲しい。
今回の震災を機に大きく日本人の価値観が変わっていく中で、運よく被災を免れた我々もどのようにダンスに向き合っていくかを考えさせられています。ダンスが出来るというただそれだけで、今までどれだけ幸せだったかを改めて気付かされました。
我々にはダンスというツールを利用して多くの人に夢・希望・元気・勇気を与える使命があると思います。そのためには、我々自身が常にエネルギーに満ちている必要があります。
生徒さんの前では常に元気でいるよう心掛けていますが、どうしても疲れているときがあります。そんな時、生徒さんから逆に励まされることがあって、ありがたく思います。心と心が通じ合う、そんな瞬間が私たちダンサーの喜びになっていると感じる今日この頃です。
藤本明彦
(2011年9月1日更新)