第41回 ダンスの原点
先月4日、全秋田選手権に審査員のひとりとして行って来ました。この競技会は本来3月13日に開催予定だったはずが、震災の影響で延期になった大会でした。
東部総局からは自分の他、A先生とY先生が一緒だったのですが、今回も台風が本州に大接近しているとかで、前日まで飛行機にするか列車にするか大変に迷った揚句、台風の進路が大幅に西にずれたお陰で、予定通り飛行機で行くことができました。しかし、その間、西日本で被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。
とにかく、無事に大会が開催されたことに、選手を初め、大会関係者はホッとしたことでしょう。
秋田と言えば、毎年年末に私達夫婦は乳頭温泉の「鶴の湯」に泊まることが恒例となっていて、その時は、新幹線で田沢湖まで旅をするのを楽しみにしています。秋田市内へは、さらに一時間、東京からは計4時間半もかかりますが、空だと羽田から1時間で秋田空港に到着してしまうのです。仕事の時は、早く現地に着きたいと思うのは私だけではないと思います。
到着後、明日の競技会の打ち合わせを兼ねて大会役員の方々と夕食を一緒にいただきました。東京から一緒に来たA先生はダイエット中とかで、ほとんど食べ物には箸をつけず、ひたすらビールを飲んでいました。そのビールを飲むピッチがとても早いので、一度にジョッキ2杯ずつオーダーするわけです。はっきり言って水がわりに飲んでいるA先生、プリン体には気をつけた方がいいですよ(^v^)
その後、ホテルに戻ったわけですが、部屋にはシャワーしかなくバスタブがありません。聞けば大浴場があるとかで、旅館に来たかと思わせるような天然温泉が最上階にあり、温泉好きの自分にとっては本当に嬉しかったですね。このホテルはビジネスホテルチェーンの中でもこの様な施設のお陰で超人気のホテルということです。
大会当日、いよいよ審査の仕事の開始です。地方大会はどこでも同じですが、全セクションの9割を担当するので、ほとんど休憩時間がありません。お腹が丈夫ではない自分にとっては前の晩から食べ過ぎないよう、飲み過ぎないように注意しなければなりません。前の晩に数十杯もジョッキを飲んだA先生は隣でフツーにジャッジしています。お腹が丈夫ではない自分にとっては不思議でなりません。
セクションが変わるたびにジャッジペーパーを持った係が、立っている自分のところにやってきます。まるでワンコソバのように、次から次へとペーパーが差し替えられ、それにもかかわらず午前中の進行が遅れてしまった関係で、お昼時間は20分しかなく、用意されたお弁当をかき込むように食べて、すぐ午后の審査のためにフロアーに向かいます。お腹が丈夫ではない(くどい!)自分にとっては、途中でトイレに行きたくなるのではないかという不安と戦いつつ、ワンコソバを食べて(?!)いきます。目の前では選手達が戦っていますが、自分は人知れずお腹と戦っています。今回、審査委員長という大役を授かっているので、万が一の時は審査委員長の権限で休憩を宣言してもかまわないのです(ウソです!!)。
つまらないことを長々と書いてしまいましたが、今回審査していて気付いたことがあります。選手たちが楽しく踊っているのです。通常、つくり笑顔だったり、必死だったりするのすが、踊りを心から楽しんでいる表情なのです。
審査をしていて、今までこんな経験をしたことはほとんどありません。勝負を超えて、踊ることが嬉しいんだという気持ちが伝わってくるのです。これには正直感動しました。
震災後だから特にそうなのか、東北人の気質なのか分かりませんが、ダンスの原点をあらためて見たような気がします。競技をやっていると、ついこの大切な原点を見失いがちいなります。
忘れもしませんが、以前、競技会後に、マーカス・ヒルトンに「エンジョイしたか?」と話しかけられたことがありました。世界チャンピオンのマーカスはダンスの原点を忘れるなと言いたかったのでしょう。
大会終了後、会場の外で車に乗ろうとしたとき、一人の女性が自分のところに近寄ってきて、「いつも先生のコラムを楽しみに読んでます!」と話しかけられました。とても嬉しかったです!!!お名前を伺うことができなくて申し訳ありませんでしたが、声をかけていただきありがとうございました。
全国の読んでいただける方々のためにも、これからもがんばってコラムを執筆して行きたいと思います。
帰路の機内では、Y先生に緋ドジョウのお話を聞かせてもらい1時間のフライトもあっという間で、楽しい時間を過ごさせていただきました。皆さん、ドジョウって黒色ばかりではないんですよ。ピンク色のどじょうもいるんですね。ビックリです。「どじょう」は四文字で縁起が悪いとかで、昔は「どぜう」と書いたそうです。
そう言えば、お店でも「どぜう」と表示してあるところもありますね。内閣も、縁起をかついで「どぜう内閣」というニックネームにしたほうが、短命ではなくなるかもしれません。今度こそ日本のためにがんばってほしいものです。
藤本明彦
(2011年10月25日更新)