第47回 転んだら減点になるのか?
3月に開催されたスーパージャパンカップダンス選手権を観戦した私の知人が、いくつかの質問をしてきました。
ダンス大会を初めて見たその知人曰く、
“シューズが脱げてしまったときや転んだときは減点になるのか?”
“フロアに堂々と入場する選手と引き帰す選手がいるけれど、結果は発表されているのか?”
等々・・・。素朴な疑問、質問ばかりですが、私達ダンス界の者にとっては取るに足らないようなことであっても、観客にとってはとても重要なことであるのだなと、あらためて気付かされました。
日本インターのNHK放映中止の理由のひとつに、審査方法が不明瞭であることが指摘され、昨今にわかに審査のあり方について議論される雰囲気になってまいりました。
このコラムでも以前、「これでいいのか、ダンス界!」(第7回)というタイトルでスケーティングシステムについて私の意見を述べました。詳しくはそちらを参照してもらうことにして、ここで私が言いたいのは、先に知人が抱いた疑問に私達は何も答えてはいないということです。
ダンスの細かな審査方法を議論する前に、私達がファンに対して説明することが沢山あるはずです。新しいファンを掘り起こそうとして競技会を見に行ってくださいと言ったところで、いったいどのように競技会が進行しているのか、シロウトには全く分からないと思います。
どれだけ、「素敵でしょ!綺麗でしょ!カッコイイでしょ!あなたも踊りたくならない?」と説明したところで、初めて見た人はそんなことよりもっと他のことにも興味があるということに、私達は気が付かなければいけません。
大会の有料プログラムも、選手のリストと広告だけで膨れ上がっているだけではもったいないと思います。ダンスにはもっと様々なコンテンツがあり、その見せ方、切り口などの編集方法にもっと工夫がされれば、大会が終わったら捨ててしまうようなプログラムではなく、保存したくなるような、また、ダンスを知らない人が見て興味の湧くような内容になると思います。
これだけ通信インフラが発達しているのだから、他のイベントでやっているように希望者に携帯用の端末を貸し出し、解説者が実況中継するなど、ファンの立場に立った競技会の運営を、もっと具体的かつ積極的に取り組むことが、私達運営サイドに求められていると思います。
(2012年4月2日更新)