第57回 ウレシイ認定!
男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる社交ダンス
皆さんもご存知の通り、「ダンス」は風営法第2条第1項第4号において規定されています。
昨年末、警察庁がこの規定の解釈を発表しました。それによると、男女がペアになって踊る社交ダンスは、その性質上、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる可能性があり、規制対象となるが、ヒップホップや盆踊りなど、ペアでない踊りは、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる可能性があるとは言い難く、規制対象扱いをしていない、というものです。
今まで、風営法上の「ダンス」の規定は、そのジャンルには言及せず、全ての踊りというものを意味していると考えられていたハズでした。
今回のような解釈の背景は、次のように推察されると考えられます。
昨年より中学校で「ダンスと武道」が必修科目になりましたが、ダンスの中では、ヒップホップが多く採用されていると聞きます。義務教育の科目として指導する上で、授業料をいただくという営業行為になるわけですから、ヒップホップも風営法の規制対象となり、公安委員会に諸々の届出をするか、「全ダ連」あるいは「JBDF」の指定講習会で指導者の認定を受けるか、どちらかの必要性が生まれてしまったのです。
しかし、学校の授業を公安委員会に届出をするわけにもいかず、かといって社交ダンスの知識をヒップホップの指導者が勉強するわけもない、ではどうするか?
そこで頭のイイどなたかが、
“社交ダンスと他のダンスを仕分けしてしまえばイイじゃないか!”
と思いついたのでしょう。
ヒップホップをはずし、社交ダンスを風営法の縛りの中に残すために、何か決定的な理由をつけなければなりません。そこで、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる可能性があるというもっともらしい言いがかりをつけたわけです。
享楽的雰囲気が過度にわたるって、具体的にいったい何を想像しているのでしょうか?男女がペアで踊るのと1人で踊るのとどのような違いがあるのでしょう?ベリーダンスやポールダンスはどうなのでしょうか?フィギュアダンスはどうなのよ?というつっこみを入れたくなるのは私だけではないハズです。
私達はJBDFの認定資格を得て営業しているので、規制対象とはならず、今回のようなオモシロイ解釈が公表されても営業的には何ら差し支えはありませんが、それにしても国家がダンスのジャンルにまで踏み込んで規制しようというのは明らかに誤りであり、日本の文化レベルの低さを露呈する以外の何ものでもありません。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
【参考】 警察庁:「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1090&KID=120120009&OBJCD=&GROUP=
最後に、警察庁の益々のご活躍を祈ってやみません(^^)
(2013年1月31日更新)