第71回 肩甲骨を安定させよう
クローズドポジションで踊っているときは、最も安定したバランスが感じられます。しかしプロムナード、フォールアウェイ、アウトサイド、セイムフット、ウィングポジションに変化するとき、バランスが失われやすい。
それは、左手・右手それとボディコンタクトの3ヶ所の釣り合いがいとも簡単に崩れやすいからに他ならないからです。
例えばPPのとき、からだを開き過ぎないように注意しますが、進行方向側、男子の左半身と女子の右半身が遠ざかるポジションになる。その時に左右の釣り合いが大きく崩れると相手を押したり引張ったりしてしまう。
下半身は開いても、上半身は向かい合って開かないようにからだをコントロールする必要があります。
下半身は大きく運動するために常に変化し続けています。上半身が「静」で下半身が「動」であるということがスタンダードの特徴の一つでもあります。
2人が組んだまま動くためには下半身に影響されない上半身のコントロールがキーポイントになります。その上半身の中でも最も重要な部分は肩甲骨だと思います。
互いの肩甲骨が静かに向かい合っている感覚、すなわちクローズドポジションで踊っているときの肩甲骨の位置です。
下半身に影響されず肩甲骨を向かい合わせておくためには、その周りの筋肉が柔軟性に富み、ショックアブゾーバー的な働きを必要とします。
試しに肩甲骨周りの筋肉をマッサージしましょう。そして踊ってみる。すぐに踊りやすくなるハズです。
両肩・両腰という体幹の四隅を意識してホールドをつくり、脚を動かすという感覚を鍛える。ぶれないようにする。これって言葉では簡単ですが、大変にむずかしいことだと思います。
人間も元々4つ脚動物だったわけですから、腕は前脚の役割を担っていました。前脚と後脚が連動することは自然なことですが、ダンスの場合、腕は互いを静かにホールドするために使われなければなりません。
柔軟性の高い筋肉ときめ細かいコントロールを練習によって見に付けていきましょう。
(2014年4月1日更新)