第73回 正しく踊っていてあげること
女性が男性をフォローするということは、どのような心構えでいるべきでしょうか?
例えば、女性はシャドーを練習するべきか否かということで言えば、絶対にシャドーが出来なければならないと思います。しないほうが良いというのは、勝手に動かれてはいやだという男性側からの都合の良い意見に他なりません。
お互いにダンスの仕組みを知っていて、また、自分達の使うステップの踊り方が分かっていて初めてリードが通じるものです。
アマチュアの女性に多いのが、踊りづらいと男性に文句を言うので、それぞれにシャドーをさせてみると、女性がまったく自分のステップがわからず、カウントもアライメントも当然のことながら理解していない場合があります。
理由を聞いてみると、シャドーしてしまうと男性の動きに合わなくなるからだということです。
このようになるのは、教える側に問題があります。
男性教師が初心者を指導するとき、ちょっとステップを説明してすぐ組んで踊ってしまい、常にこの指導法を繰り返しているうちに、それが女性にとって当たり前になり、男性教師にとって都合の良い生徒を作り上げる悪い指導法が一般的になっているからだと考えられます。
そのように教えられた生徒は他の人とも踊れないし、上達もできません。
より上手になりたいと相談を受けた時、シャドーを練習しましょうとアドバイスすると、嫌がるのです。上手になるにはシャドーで仕組みを一緒に練習しましょうと歩み寄っても、恥ずかしいからとか、ちゃんとリードしてくれればいい、などと言う始末。
こうなったらかなり重症です。
ダンスのことを理解しようとせず、相手頼みに調教されてしまった生徒が気の毒です。
車の運転に例えるなら、男性はドライバーで女性は何でしょう?助手席に座っているのですか?
いや、車そのものであるべきです。
乗馬に例えたら、男性は騎手であり、女性は馬です(女性の皆さん、怒ってはいけません。あくまで、役割の話です)。
女性はしっかりと整備、調教された乗り物であり、エンジンも、ハンドリングも足廻りもハイスペックであり、あやつる男性も的確に一流の技術で運転しなければなりません。
人馬一体という表現がありますが、人と馬がくっついているという物理的な意味ではありませんよね。ダンスでいうワンピースで踊るというのも同様です。
もし相手がバランスをくずしたら自分はどうすればよいか?それは正しいバランスで踊っていてあげることです。
物理的にくっついているカップルは共倒れします。自分が正しくしっかり踊っていてあげることが、相手にとっての最良のフォローにもなるのです。
現在の競技ダンスはスピードとパワーが主流で、リード&フォローなどというのは昔の踊り方だという人は本当のリード&フォローを理解していないと思います。
アレッシア・ベティも言っていました。ミルコは競技中、フィガーを様々に変えてくる。私はそれが楽しかったと。
(2014年5月30日更新)