第74回 競技ダンスにおける攻めと守り
ワールドカップは日本にとって残念な結果に終わってしまいました。特別、サッカーに興味があるわけではありませんが、世界一を決めるスポーツであるということで、やはりがんばって欲しいと思っていました。
日本チームと欧米チームのどこに差があるかと考えれば、組織プレーと個人プレーの対比ということを指摘する方が多いと思います。
今回の日本チームは攻撃に重点を置くということで、確かに以前に比べれば、縦へのパスが多くなった気はします。ボールキープ率は高いようですが、逆に言えば、パス回しが多くシュートのチャンスを逃がしているということにもなります。陣営を整えるまでパスを回しているうちに相手のディフェンスが充分な体制になってしまい、シュートのチャンスが無くなってしまうというように見えて仕方ありません。
もっとイヤな見方をすれば、「俺、責任負えないから、お前にパスするよ・・・」という動きにも見えるのです(選手諸君、失礼!)。
対して欧米チームは、一点突破率力が凄い。チャンスがあれば、どこからでもひとりでゴール近くまで切り込んで行く個の力がある。
一方、野球のように攻守がはっきりしているスポーツは組織プレーに向いていると言えるでしょう。ワールドベースボールクラシックで2度も世界一に輝き、他国チームが日本の組織プレーを参考にしているという事実がそれを裏付けていると思います。
サッカーを始めとする攻守の区別のないフィールドプレーを特徴とするスポーツは、個の力の差がとても重要でしょう。言い換えれば、攻守の切り換えがすばやいということでしょうか。攻めてるか守っているか、必ずどちらかであって、パス回しで陣営を整えてから・・・という時間を作らない、あるいは、パスがいつシュートに変わるか分からないというプレッシャーをいつも敵に与えているようにプレーしているように思えます。
さて、いよいよ競技ダンスでこの考え方を当てはめたらどうでしょう。
ダンスも競技ですからやはり攻守があると自分は考えます。それは、フロアークラフトの技術です。
他のカップルに囲まれてスペースが無い時に無理矢理移動せず、タイミングを少し長く取ったり、ピクチャーステップを多く組合わせて、他のカップルをやり過ごし(守備)、スペースが空いた瞬間に、ギヤをトップに入れて踊り抜ける(攻撃)。練習でもいつも実戦を想定してフィガーを変える。リード&フォローのトレーニングが必要になってくるでしょう。通りいっぺんのルーティンといった固い考え方では、役に立ちません。踊りはいいけど、コンペではぶつかって踊れないという話をよく聞きますが、攻守を切り換えるという発想を常に持って練習することが大切だと思います。
(2014年7月1日更新)