第76回 アートの力
甘かったと思います。
2時間余りではとても見きれませんでした。
先月、横浜で開催されているヨコハマトリエンナーレの本会場である、横浜美術館に行って来ました。
トリエンナーレという言葉が聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。3年に一度開催される国際美術展覧会のことで、2001年より3年おきに横浜で開催されてきました。現代美術を主に、絵画、彫刻、様々なオブジェが展示品として並び、今回のテーマは
「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」。
なんかムヅカシイタイトルだなぁ、現代美術って前衛的でゲイジュツ家の自己満足の世界でしょ・・・
みたいな偏見も、一歩美術館の中に入ると目の前に現れたのは、天井までの高さのある巨大なゴミ箱!その中には芸術家が作品を生む過程で不用となった、あるいは失敗した作品が捨てられていました。
ゴミというのは必要無いものとして忘れてしまう、忘れたいものの代表のひとつであって、それを敢えて見つめ直すことで本当に必要なものとは何かを考えさせられてしまう、そのゴミを美術館の中心に展示することで、今回のテーマが伝えようとするメッセージを来館者に理解してもらおうという発想に、僕は目からウロコが落ちる思いをしました。
忘れたいもの・・・ 忘れ去られるもの・・・
思い出したくないもの・・・ フタをしてしまいたいもの・・・
って、いったいどんなものがあるでしょう。
展示作品の中には、北朝鮮拉致問題に関するものがありました。国家権力によってまさに忘却の彼方に葬り去られた人々。また、太平洋戦争の間にベストセラーになった小説や評論の書物も展示されていて、戦後それらを忘れてしまった私たち日本人。
「忘却」というテーマで掘り下げられた様々な作品をみるうちに、地元で開催されているイベントだから少し見ておこうかという軽い気持ちで訪れたチャライ自分が恥ずかしく思えてなりませんでした。
アートには言葉の力とはまた違ったパワーを感じます。
見ているものの想像をかき立て、人それぞれの解釈が成り立つ。自分もそんなダンスを目指して踊り続けたいと思います。
このヨコハマトリエンナーレは、横浜市のアーツフェスティバルの3本柱のひとつで、来年はダンスイベントの年になります。一昨年も「ダンス・ダンス・ダンス」というテーマで開催されました。横浜の随所でボールルームダンスのイベントを開催しますので、どうぞご期待ください。詳細が決まり次第、皆様にお知らせします。
ヨコハマトリエンナーレ ホームページ http://www.yokohamatriennale.jp/2014/
巨大なゴミ箱・・・美術館の中央 | 「華氏451」・・・紙が燃えてしまう温度 |
ダブルクロス(裏切り)と砲弾 | 本当に感極まったとき・・・・ |
横浜美術館の外 | |
(2014年9月1日更新)