第24回 ペンギンはダンスが上手!?
今までに、側軸と前後軸について話をしてきました。体を立体的にとらえるため、前後・左右・上下に分けて考えてみる。
今回はいよいよ上半身と下半身。体のどこで上下に分けるかと言えば単純に胴体と脚ということになりますが、踊っていると、上体が突っ込むとか、脚は体の下にあるべきであるとか、上半身と下半身をどのように意識して踊ったらよいのか、わからなくなる時がありますよね。
では、ペンギンを考えてください。私たちに見える足の部分は人間でいうとかかとから先の部分であって、膝や腿は胴体の中にあるんですね。であれば、人間も、目に見えるところが脚であるという意識を捨て、脚の付け根は胴体の中にあるというイメージを持ってみたらどうでしょう?
例えば、首の下がすぐ股であると思えたらおもしろいんじゃないでしょうか。首から下が脚であれば、上半身と下半身という呪縛から解放され、体をコントロールする意識や基準がガラッと変わってきます。
ボディコンタクトというのも、脚の付け根のコンタクトであって、そこにコンタクトでリードする本当の感覚が生まれてきます。限りなくパートナーの体が自分の体の一部になり溶けあってリード&フォローが確実になってくる。脚の付け根の動きが伝われば一体になって踊れるということは容易にイメージできますよね。はた目には脚しか動いていないように見えても、胴体すなわち脚の付け根はもの凄く動いている。しかも、きわめて繊細に明確に変化することによってパートナーと一体となった動きが可能になる。これこそがペアダンスであるボールルームダンスの醍醐味の一つなのです。 不自由そうにホールドしてくっつい動いているようでも、実は非常に自由に踊ることができる、このことが誰もが求めてやまないダンスのテクニックなのです
そして一体となって踊れたときのヨロコビ、これは何にも変えがたい至福の瞬間であり、踊りたい、踊り続けたいと思う最大の理由なのです。このヨロコビがあれば、苦しい練習も乗り越えられるのではないでしょうか?逆に苦しい練習を乗り越えた者だけに与えられるダンスの神様からのプレゼントなのかもしれません。
藤本明彦
(2010年4月16日更新)