第28回 カチューシャに習う
先日、現世界スタンダードチャンピオンのMrs.カチューシャ・デミドヴァにプライベートレッスンを習う機会がありました。
先頃、6月の大阪インターの時に、彼らは1時間のレクチャーをしましたが、大勢を前にしたレッスンは基本的なことであり、それでも踊って見せたときには素晴らしいダンスで、それなりの説得力はありました。そして、ブラックプールでタイトルを獲得した彼らはいつになく自信に満ちていました。 ジョナサンと組んでいる頃から、彼女の踊りは知っていますが、レッスンを受けるのは初めてなので、まずは自己紹介。「9年前に選手を引退して、現在は審査員をしています。だから、お手やわらかにm( _ _ )m」「まァ、私達にとって重要人物ねo(^-^)o」とカチューシャ。そして、たった45分1レッスンを受けるにあたり、何か一つにテーマを絞ってみようと思い、「ブラックプールのナチュラルターンを教えて欲しい!」と頼んだところ、笑ってこう答えました。「シークレットよ」 その後、基本の立ち方から組み方まで、彼女の考え方を細かく丁寧に説明してくれて、私達が踊ったときの欠点を指摘し、それぞれに組んでナチュラルターンを踊ってくれました。初めての相手と組むときは緊張と期待と不安が複雑に入り混じっているものですが、とても楽しい時間でもありました。
最も大切なことは、“身体のセンターと足首が連動していること”とカチューシャは言いました。自分も最近、練習で足首を意識して使っていたので、このアドバイスは「やはりそうか!」とタイムリーに納得がいくものになりました。
センターと足首という2点を繋ぐ意識を応用して、センターと首、センターと手首、というように展開させると、今まで「軸」や「面」で捉えていた感覚とはまた違った身体の使い方が可能になったように感じました。上手く言えませんが、点を意識することで、点と点を結ぶ経路がリラックスでき、無駄な力が入らなくなるような気がしたのです。
そう言えば“藤本ダンス道場”の「道」という文字には首が入っているじゃありませんか。そもそもは、敵の首を持ち帰ったところから「道」という文字が出来たということを聞いたことがあります。道を極める者は、首を制すということでしょうか。無理にこじつけたところで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
名パートナーと呼び声高いカチューシャ・デミドヴァ
藤本明彦
(2010年9月1日更新)