第91回 プロムナード
プロムナードとは、「散歩する」「散歩道」という意味のフランス語が語源です。プロムナードポジション、通称「P.P.」と言われるポジションで踊るフィガーに付けられている言葉ですが、とても呑気に散歩の気分では踊ることの出来ないポジションですよね。ダンスを始めてしばらくすると、まず壁にブチ当たるのがP.P.です。いや、ダンスは常にこのP.P.との闘いかも知れません。ラテン選手にとってもスタンダードのP.P.ほど難しいものは無いと言います。
それは、男子のショルダーラインが乱れやすいことに他なりません。力ずくや筋力では右肩をコントロール出来ません。
男子の右アームは女子の背中まで廻り込んでいるため、肩の位置が前に出やすく前に突き出た肩では女子は大変に組みづらいホールドになります。
この肩の位置は女子から男子へのリクエストベスト3に入っていると言っても過言ではないでしょう!
僕の考えるP.P.は、
・男子の上半身は、進もうとしている女子のボディを受ける感覚にする
・女子は男子の右懐に向かって進む
・男子の背中が進行方向を意識する
・男子の2歩目の右足はしっかりアクロスする
・女子の右アームは男子の左アームとしっかりバランスする
フレンチスタイルのボールルームでは、男子の顔は女子の顔を見たままプロムナードに進むようです。顔を見合わせたまま踊るというのはいかにもフランス流といったところですが、体の感覚からするとこれはとても理にかなった踊り方と言えましょう。
首の回旋可動域は約60度ですから、進行方向を直視すると男子の体は左に開いてしまい、女子を受ける感覚が無くなってしまいます。
また、体は目で見た方向に進もうとしますから、P.P.で進む場合は視線と足の位置の関係に注意を払う必要があります。視線に対して男子P.P.左足の一歩目は後ろに向かってステップするという感覚に近いと思います。
散歩のような気軽な気分ではプロムナードはとても踊れませんね!
(2015年12月1日更新)
藤本 明彦
リーダーの藤本は、大学のダンス部に入部後、桝岡栄子先生に師事。
学生チャンピオン、アマチュアチャンピオンを経てプロに転向、Aクラス昇級後、英国留学を重ね全日本グランドファイナリストとして活躍。
2001年のスーパージャパンカップを最後に競技選手を引退。
1961年生まれの天秤座のO型で、現代の日本人が忘れかけている「気合・根性・忍耐」の精神が大切であると常々思っている。
大の温泉好きで、これからは秘湯めぐりをしようかと密かに企んでいる。
佐藤 直美
パートナーの佐藤は栃木県出身で、実家がダンス教室でありながらダンス嫌いで、ミュージシャン志望だった。
しかし、亡き母の熱心な薦めで、東京は四ツ谷の「石原ダンスクラブ」にその頃在籍し次期チャンピオンと言われていた桑原明男先生に師事。
プロの踊りの奥深さとかっこ良さに触発され自分もプロになることを決意し上京。(まんまと母の思惑通りになる…)
直美という名前はダンサーネームで本名は玲子。プロになる時オーナーが「皆に好かれ、ダンサーとして大成するように」とつけてくれた。
その後タップダンスやジャズダンスなどでダンサーとしての体を作りながら地道に昇級し、Bクラス戦を前後期優勝しAクラスに昇級。
やはり英国留学を重ね全関東選手権、アレックス・ムーアカップでファイナル入り、スーパージャパンカップでセミファイナル入りと着々と実績を上げ2001年に競技選手を引退。
都内にダンススタジオをオープンするも、同じ頃藤本と公私共にカップルを組む事になり、平成16年4月に神奈川県横浜市に「藤本ソシアルダンススタジオYOKOHAMA」を新規オープン。
多くのダンスファンに親しまれ、今日に至っている。
現在は、経営指導の傍ら、JBDF東部総局公認審査員、デモンストレーターとして多忙な日々を送っている。そして、「なんば」をキーワードにダンス理論を解明することがライフワークのひとつとなっている。