第35回 THE NAMBA4 予備歩についての考察その2
前回は、予備歩の男性左足と右足の踏み出す方向とその角度の差異を利用して、テイクバックをするのと同じエネルギーを生み出す方法をお話ししました。
今回は背骨を中心に上半身を回転させて体幹を捻る運動には、パートナーの軸と自分の軸が寄ってしまうリスクが伴います。その左右の足の位置を工夫することに加えて、左右の身体を使い分けることで、そのリスクを回避し、エネルギーを留める方法をお話します。
ステップしなくても、つまり足の移動を行わなくても、身体はいろいろな変化をする事が出来ます。足を揃えてホールドした状態で身体を伸ばしたり、縮めたり、膨らましたり、萎ましたり、たわましたり、反ったり、凹ましたり・・・etc。身体を硬直することなく自在に変化させてみる。
互いのバランスを保つギリギリの中で大きく変化してみましょう。実にいろいろな動きが出来ることにすぐ気付くと思います。
その時に、揃えた互いの両足の位置が近すぎると、身体の振れ幅が制限されてしまうので20cmほど離れて立ち、胸下から腰のあたりがコンタクトするように身体をしならせると良いと思います。互いに寄りかかる感じになりますが、2人のボディウェイトのバランスを調整してコンタクト面にカップルとしてのバランスを作り出してください。
男性は右ボディを女性の右ボディに強く圧力をかけるようにして(この時点で、カップルとしてのバランスは失われはじめ、男性が前進しようとしていることが感じられます)女性を自分から遠ざけるようにします。遠ざける方向はナチュラルターンの一歩目の方向になります。その間に、予備歩のステップを始めます。
言葉で説明すると分かりづらいのですが、弓矢を構える姿をイメージしてください。男性が右手に弓の本体、弓幹を持ち、左手で弦に矢をかけた状態で、弦を引くのではなく、弓幹を前方へ出していく。つまり、弓幹を支点にするのではなく弦を支点にして弓を引くエネルギーを作り出すのです。
こうすることで、体幹を捻ることなく前後の位置エネルギーを利用して、予備歩からカウント1の男性右足にステップしていき、CBMを利かせて、ナチュラルターンに入っていきます。他にもいろいろな身体の使い方があると思いますが、長年悩み続け、研究した結果、現在はこの方法がベストであると考えています。
藤本明彦
(2011年4月16日更新)