第36回 THE NAMBA5 イケ面ダンサーになる!
当たり前ですが、男女が向かい合って踊るのがスタンダードの基本ですが、P.PになったりO.Pになったりポジションを変化させながら踊り続けるわけです。
Wのシャッセ・フロム・P.P&ナチュラルターンであれば、
P.P → クローズド.P → アウトサイド.P
というポジションを極めて滑らかに変えながら踊らなければなりません。
P.Pで注意する点の一つは、ボディが開き過ぎないことであり、O.Pではずれ過ぎないようにすることですね。ということはボディポジションで大切なことは、クローズド.Pであって互いにしっかり向き合っているという感覚の内側に、色々なポジションが含まれているという事だと思います。
開き過ぎない、ずれ過ぎないということは、ポジションからポジションに移行するときは必要最小限の変化を心掛けるということになります。大きな変化をしてしまうと、次のポジションへの対応が遅れ、2人の間にせっかく作り上げたエネルギーが漏れてしまうことになるからです。実際の動きは更に右回り、左回りしながらライズ&フォールを繰り返すわけですから、必要以上の変化になりやすい状況の中で踊っています。
必要以上の変化が起きると踊りづらくなるのは、無意識のうちに体が気付いているので、腕でその変化を最小限にしようとこれまた無意識のうちに腕を悪い役目に使ってしまい、ホールドのきつい、踊りづらいダンスになってしまいます。
スイングしながら高速で踊るためには大きなポジションの変化ではとても間に合いません。例えばアウトサイド.Pなら、右脚一本出るだけの最小限のスペースでリードするという意識が必要になります。無駄なスペースはパートナーを迷わせる原因にもなり、思い切って踊ろうとする気持ちを不安にさせてしまうだけです。
では、この向き合っているという基本のクローズド.Pはどのような感覚なのでしょう。元世界チャンピオンのアンソニー・ハーレー先生は、「男性の背中は女性の前面であって男性の前面は女性の背中になる」と言っていました。この意味は、一体になることと同時に、ボディを面として捉えていることだと考えられます。
互いの接点はたとえ両手とボディの一部であっても、他の接していない部分を含めて、面として組あってみる。注意すべき点は、男性の左面が、たとえP.Pであっても女性に面している感覚を失わないことと、女性は左側に強くシェイプするあまり、右面が男性から離れがちになる点であると思います。
そしてどのようなステップになろうとも、この面している感覚を決して失わないようにすること。スタンダードの練習はこの失われがちな面の感覚を常に鍛えることとも言えます。
そして、面は体をねじると失われてしまうので、これこそナンバの感覚なのです。男性も女性もイケ面ダンサーを心掛けて美しい踊りを目指してください。
一部から“イケメンダンサー”との呼び声がある藤本ソシアルダンススタジオYOKOHAMAスタッフの北岸賢明先生。4月29日でプロ歴10年を迎えました。
藤本明彦
(2011年5月16日更新)