第98回 動きの支点
大きく踊るためにはどうしたらいいか? 誰もが取り組んでいるテーマのひとつですね。
ひとことで大きく踊ると言ってもダンスは立体的に踊ることが大切なので、どの部分をどの程度大きくするという複雑な組み合わせが必要になってきます。しかも2人で動くという高度なテクニックを磨かねばなりません。
動くためにはどこかに支点が必要です。
体の中に目を向けてみれば、背骨付近の中心線があり、右半身の右軸があり、左半身の左軸があります。また、おへそ付近のコアも重心の釣り合いとして支点と言うことが出来るでしょう。
互いに組み合うことでコモンセンターも形成されます。体のパーツに目を向ければ、腕の支点は肩であり、脚の支点は股関節ということになります。
ダンスを始めたばかりの人は動きの支点がすべて自分自身であるため、相手を無理やり引っ張って動かそうとします。特に男性はリードの役目があるのでその傾向が強くなります。
トレーニングを重ねていくうちに相手を支点に自分が動くということにも気づいてきます。
常に亭主関白的な気質の人は相手を支点にするなどという発想は生まれてこないかもしれません(^^)そういう人は社交ダンスに向いていないでしょう。レディファーストの精神とはこういうことです。
話を元に戻します。
大きな動きのためには支点からの距離が遠いほうが有利なわけで、半径を大きくとるということになると思います。Wのナチュラルターンであれば、カウント1の足が着地する地点を互いに共有する必要があります。その一歩前、カウント3からのロアのアクションから感じられる正しい地点を瞬間的に察知できる正しいポイズが必要になってきます。
さらに支点そのものが体のどこかではなく外側にある、つまり自分達の外の空間にイメージすることで運動半径はさらに大きくなります。
頭上であったり背中の後方であったり2人の運動の支点を外側に求めることでよりダイナミックな踊りになることが想像できるのではないでしょうか?
(2016年7月1日更新)