第2回 プロレスの神様 故カール・ゴッチはダンスの先生!?
あるテレビ番組で、日本人の俳優がカール・ゴッチに体験入門したときのこと、プロレスで最も大事なテクニックは何かと聞かれたカール・ゴッチが「タイミングとバランスだ」と即答したのを今でもよく覚えています。一見、力技にも思えるプロレスでも、ダンスの先生と同じ様なことを教えているんだなぁと感心したものでした。
また、メンバーが音を外しても怒らないけれど、タイミングを外すと怒っていたのはシャズ界の大御所、カウント・ベイシーでした。
競技選手を教えていて、よくある問題の一つに、曲に遅れて間に合わないということがあります。動きが遅いと思っている場合がほとんどで、CDのスピードをマイナスにしたりする。それで本人は曲に合ったつもりでいてもやはり遅れてしまう。そこで、もっとフロアを強く蹴ってホールドもうんと張って、気合いと根性をさらに上乗せして、いざ踊ると、待っていたのはパートナーの冷た~~いヒトコト。「押さないでよォ!」
・・・この先の顛末は、ご想像にお任せします。
また、おもしろいことに、ジュニア、ジュブナイルの子供たちの方が、しっかりタイミングが合っている場合が多い。彼らは難しいステップは知らなくても、からだ全体でタイミングをとることを自然に覚えるからでしょう。からだが小さいから大人のように手先・足先ではなく嫌でも全身が動いてしまう、子供の頃にしっかり身に付いたものが、決して忘れないのは、どの世界でも共通のことです。では、大人たちはどうすれば良いのでしょう?感性とか素質という言葉で逃げる前に、しっかりと考えた上で踊る必要があるのです。
良いダンサーは音楽と自分とパートナーの3要素がぴったりと合っています。その中で一番偉いのは音楽です。世界チャンピオンより偉いのです。
次回は、どのようにしたらこの3要素が合うか、そのコツをお話したいと思います。
(2008年7月16日更新)